研究概要 |
海上監視システムに有効なセンシング技術手法のひとつに水中音観測がある。本研究の目的は,ハイドロフォンを利用した水中音観測を行い,監視水域を航行する船舶の水中音特性を把握し,航行船舶の識別技術を確立することである。 そのためには,船舶音以外の雑音を含む水中音から船舶音のみを抽出する技術が必要である。そこで音声工学分野等でコンピュータによって聞きたい音源を分離抽出するための様々な研究が行われており,水中音においても分離抽出技術を採り入れることを考える。これにより,港湾などにおいて入港を許可していない船舶や不審船等の侵入監視や密漁船監視およびその他の領海警備などに役立てられると推考する。 以下に平成23年度に実施した研究および成果について列挙する。 ・航行船舶の水中音データ収集のため,実海域等における水中音観測実験を実施した。 ・航行船舶の方位推定算出手法の開発を行うため,観測船を中心に周回航行する対象船の水中音観測実験を実施した。 ・観測実験において雑音の混入が発生したため,後処理に雑音除去処理の導入を検討した。 ・線形予測法による音響解析手法を用いた船舶水中音の解析に関する検討評価を行った。 ・水中音観測下における接近船舶の水中音検知に関する検討評価を実施した。 ・水中音特性から航行船舶の識別に関する手法について検討評価した。 ・オクターブ分析に基づく水中音特性から,航行船舶の水中音検出に関して検討した。 ・これまでの研究のノウハウを生かし,数隻の水中音特性の検出および識別について検討評価を行うとともに構築したアルゴリズムの有用性について確認できた。
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