CO_2を油層に圧入して採油増進を図るCO_2 Enhanced Oil Recovery (CO_2-EOR)においては、油層に圧入されたCO_2の掃攻効率を高めることが重要である。本研究では、CO_2とともに微生物を油層に圧入し、微生物による高浸透率領域の閉塞や石油の低粘度化によりCO_2の掃攻効率を高めてさらなる採油増進を図るCO_2-Microbial EOR (CO2-MEOR)を提案して、その研究を進めている。 平成21年度の研究では、油田で採取した油層水をCO_2存在下(CO_2濃度10%および100%)で集積培養し、CO_2資化性もしくはCO_2の存在によって代謝が活性化する微生物のスクリーニングを行なった。その結果、CO_2存在下において石油中の炭素数30超の比較的重質なアルカン成分を選択的に分解して石油の粘度低下をもたらす微生物を分離することに成功した。間微生物を石油を重層した油層水中で培養すると、最高で石油粘度を初期粘度の約半分にまで低減させる機能性を有することを明らかにした。同微生物のCO_2-MER適用性を評価するために、温度、塩濃度ならびに圧力などの油層条件の影響を検討した結果、濃度は最高80℃まで、塩濃度は最高9%まで、圧力は最高7MPaまでにおいて増殖と石油の粘度低減が認められ、多くの油田に適用できる可能性が示された。 さらに、日本、中国、オマーンならびにインドネシァの油田で採取された独層水中の微生物を遺伝子工学的手法を用いて調査した結果、複数の油田から同種の微生物が優勢種として検出され、同微生物が世界中の多くの油層内に棲息していることが示唆された。とりわけ、高温低塩濃度油層からは普遍的にPetrotoga属の微生物が検出され、同微生物を用いたCO_2-MEORの適用にあたって必要な油層条件を明らかにした。
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