平成21年度から行ってきた石炭灰によるベントナイトの代替比率を変えた緩衝材の<バリヤ層としての各種基礎特性>に関して引き続き実験を行った。次に、一連の実験結果から緩衝材(バリヤ層)の水理パラメータを決定し、数値解析による放射性核種の長期移動シミューションを行い、各代替比率の緩衝材をバリヤ層として用いた場合の放射性核種の外界への漏洩防止効果について種々検討を行った。 <バリヤ層としての各種基礎特性> 平成21年度から実施している試験項目に加え、下記の3項目について実験を行った。 ●pH計測:ベントナイトの一部を石炭灰で代替しても、同程度のアルカリ性を示しておりその影響は認められなかった。 ●各種イオンの溶出試験:ベントナイト代替物として用いる石炭灰からの重金属イオンの溶出が懸念されたが、有害な物質の溶出は認められなかった。 ●カラム試験:各代替比率の緩衝材の分散・拡散係数を決定した。 <数値シミュレーションによるベントナイト-石炭灰緩衝材を用いたバリヤ層の長期安定性評価> 平成21年度から実施してきた一連の実験結果に基づき、石炭灰によるベントナイトの代替比率を変えた各緩衝材の水理パラメータを決定し、これら緩衝材を低レベル放射性廃棄物処分場におけるバリヤ層および遮蔽壁として適用した場合の遮蔽効果について検討するため、浸透流・移流分散解析コードを用いて地下水を考慮した放射性核種の長期移動シミュレーションを行った。その結果、ベントナイト単体と比べ石炭灰でその一部を代替することにより、バリヤ層(緩衝材)のシール特性に関しては若干の低下が認められるものの、代替比率が30-40%程度であれば低レベル放射性廃棄物処理場におけるバリヤ層として放射性核種の漏洩防止効果が期待できることがわかった。
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