本研究ではカラム充填用シリカビーズ表面に機能性部品としてペプチドを固定化し、電気電子産業の廃水中に含まれる貴金属イオンやレアメタルイオンを回収するカラム充填剤を開発することを最終目的とする。ペプチドはその構造によって様々な物質に対して選択的吸着特性を示すことができる機能性物質である。本研究で提案するペプチド固定化シリカビーズが実現すれば、循環型社会構築の一助となることは言うまでもない。 21年度はシリカビーズ表面にペプチド修飾を施した。合成はシリカ表面のシランカップリング剤によるアミノ化と、そのアミノ基を起点としたアミノ酸の重合と言う二段階で行った。シリカビーズは、粒径が60~200μmであるものを用いた。ペプチドとしては、モノマー側鎖にアミノ基を有するポリリジンを選択した。ポリリジンは目的とする金属イオンと相互作用することが確認されている。 得られたペプチド固定化シリカビーズを用いて金イオンの捕集実験を、まずはバッチプロセスで行った。金イオン水溶液にペプチド固定化シリカビーズを混合し、濃度変化を紫外可視分光光度計を用いて評価した。捕集前後の濃度変化から捕集効率を算出した。次に同じペプチド固定化シリカビーズをガラス製カラムに少量充填し、フロープロセスによる金イオン捕集実験を実施した。その結果、バッチプロセスと同様の効率で金イオンの捕集ができることがわかった。またフロープロセスにおいては金イオン水溶液の滞留時間が重要なパラメータであることが明らかとなった。
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