研究概要 |
中性ガス封入セルへ加速コンパクトトーラス(CT)を入射し,通過後の中性化効率をモンテカルロ法で計算した.入射速度50km/s,中心イオン温度20eV,そして封入ガス圧0.5mTorrであれば,浸透長1mでほぼ100%の中性化効率を得ることがわかった.しかし,中性粒子フローはCT生成時の比較的高い温度を有するため熱拡散が問題となる.移送管壁に向かう径方向拡散を考慮することにより,CTが保持していたイオン総数の20%程度を損失することが明らかになった.したがって,粒子供給法として実用化のためには,低イオン温度のCTをより高速で入射し,さらには中性化セルと核融合プラズマの近接性を高めなくてはならないことがわかった.また,中性粒子とCT内イオン間の弾性衝突による散乱の影響を調べたが,中性化効率は1%程度減少する程度であり実用上の問題はないことがわかった. 上記のモンテカルロシミュレーションとは別に,CT中性化過程における電磁場の時間発展を明らかにする目的で,ハイブリッドシミュレーションコードを開発した.また,研究効率化のために並列計算機(PC4台,16ノード)を構築し,演算速度を高めた.スフェロマックプラズマのベンチマーク計算を行い,過去の実験結果を再現できることを確認した.加速CTの中性化過程においては,CT内の電子と中性化セルに残される低温イオンとの間に大きな相対速度が発生することで軸方向電場の生成が予想される.本研究で開発したハイブリッドコードによって,電磁場の時間発展を含めたCT中性化過程のより詳細な検討が可能となった.
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