東京大学のUTST装置では、真空容器外に設置されたポロイダル磁場コイルを用いて真空容器内に磁気中性点を2つ形成し、そこで発生した初期プラズマを合体させることで球状トカマクを立ち上げることのできる世界で唯一の装置だが、合体による加熱が今まで確認できなかった。そこでトロイダル磁場コイルおよびセンターソレノイドコイルを増強することでプラズマ電流が300kAまで達することに成功し、トリプルプローブによる計測で合体のX点付近での電子加熱を観測することに成功した。この加熱はX点近傍のみに現れる局所的加熱で、さらに0.01msオーダーという非常に短時間でおきる加熱であるということが判明した。さらにイオンに関しては、Photo Multiplier Tubeアレーを受光素子に用いたドップラー分光計測器による測定から合体の時間帯に径方向に内向きと外向きのアウトフロー領域においてイオンが加速されていることが確認され、アウトフロー速度は24km/s程度となりアルヴェン速度とほぼ一致した。センターソレノイドを用いた実験ではプラズモイドが観測され、磁気ヘリシティー注入と磁気リコネクションの密接な関連を初めて実験で検証することができた。すなわち磁気ヘリシティー源と球状トカマクを、磁気リコネクションによって生じた電流シートがヘリシティー密度の高い道で両者を繋ぐことが分かった。半導体IGBTを用いた制御では、電気二重層キャパシタを電流源とした秒オーダーの準直流電源の開発に成功し、電気二重層キャパシタが核融合プラズマ分野にも有効に応用できることを証明した。
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