研究概要 |
直線型ダイバータプラズマ模擬装置NAGDIS (Nagoya Divertor Simulator)において,ヘリウムプラズマ照射を実施した。典型的なパラメータは電子密度が10^<18>m^<-3>,電子温度が5eV程度である。入射イオンエネルギーが数十eV以上で,温度領域が1000-2000Kの時にヘリウム照射によりタングステン表面に繊維状のナノ構造ができることが明らかになった。ヘリウムフルエンス依存性から,ヘリウムバブル照射により,ピンホールが表面に形成されるとともに,バブルの結合により表面にロッド状の構造が形成されること観測された。これらピンホールとロッド状構造の形成が,繊維状ナノ構造の形成プロセスに重要な役割を示していることが明らかになった。加えて,照射後の光学的反射率を計測した結果,ヘリウム照射によりタングステンの光学的反射率が1桁以上減少していることが確認された。 モリブデンにヘリウム照射を実施すると同様に繊維状のナノ構造が形成されることが確認された。しかしながら,必要なヘリウムのフルエンスは一桁程度高い値であった。モリブデン,ロジウムなどの光学的ミラー材料への1000K以下の比較的低温でのヘリウム照射を実施し,SEMおよびAFMでの表面解析を行った結果,表面の凹凸がヘリウム照射により増加し,光学的反射率が特に紫外領域で著しく減少していることが明らかになった。ヘリウムバブルが表面の凹凸を数百nmのスケールで増加させている結果,光学的反射率の劣化が特に紫外領域で起こったことが示唆された。
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