研究概要 |
本研究は,核融合炉への固体水素を用いた燃料供給法を確立させるための要件となる,固体水素の溶発素過程の理解,さらには固体水素の溶発によって形成される高密度プラズマ塊の散逸挙動機構解明を目的としている.当該年度において,高密度プラズマ塊の電子密度,温度といった内部分布を測定するために,高速カメラを用いた2次元イメージング分光計測システムを構築した.初期結果として,高密度プラズマ塊が磁力線方向に沿って数10cm広がっていることを観測し,高密度プラズマ塊の電子密度が3×10^<22>-8×10^<23>m^<-3>の範囲で,電子温度が0.8-1.2eVの範囲で分布している可能性があることが分かった. 本計測システムの特徴は,高密度プラズマ塊からの発光を5つに分岐された異なる狭帯域光学フィルタが取り付けられているイメージングファイバを用いて分光することにある.本研究では水素の発光スペクトルのうち,バルマーβ線(波長486.1nm)と連続光領域(波長576.8nm)に着目して密度・温度分布を求めることとした.具体的に,同じバルマーβ線の中心波長で異なる半値幅の2枚の狭帯域フィルタを用意し,各ピクセルに対してそれらの発光強度を比較するとともに,バルマーβ線と連続スペクトルの強度を比較することで,両者の強度比が最も理論計算と合致する温度,密度を一意に求めた. 次年度は,計測システムを改善して同定精度を向上し,より正確な内部分布を測定してプラズモイドの内部分布の時間変化,および磁場構造がプラズモイドの内部分布に与える影響に着目した研究を進める.
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