研究概要 |
2年計画で開始した水蒸気親和性制御手法を用いた室温駆動トリチウム除去技術に関する研究の1年目として平成21年度は、新規疎水型貴金属触媒の創製と機能性ゼオライトの水蒸気親和性制御を用いた水分吸着剤の開発について以下の成果を挙げた。新規疎水型貴金属触媒においては、2種の触媒を創製した。スチレンジビニルベンゼンをパーシャルブチル化した高疎水性球形母材をγ線照射することで水素拡散特性を向上させるように細孔径制御したものに白金を担持させた白金触媒は室温・飽和水蒸気雰囲気という従来触媒では水素酸化活性が見込めない条件においても高い酸化活性を示した。また従来無かった非高分子を母材とした疎水性白金触媒を開発した。本触媒は先の高分子触媒と同等以上の高い水素酸化活性を示し、その製造方法等を特許出願した。機能性ゼオライトの水蒸気親和性制御を用いた水分吸着剤の開発ではゼオライトフレームワSiO_2/Al_2O_3比を2.0,5.0,7.0,10.0に変化させたカルシウムカチオンのフォジャサイト型ゼオライトを作成した。有効吸着表面積、室温における吸着容量の水蒸気圧依存性から、SiO_2/Al_2O_3比が7.0から10.0に変更することでゼオライトの水分吸着が疎水型に急激に変化することを示した。核融合のトリチウム除去系では吸着と再生が繰り返される多サイクル運転が基本であることを鑑み、多サイクル運転時の水分吸着、脱着を焦点に試験を実施した。吸着時のトリチウム除去係数はSiO_2/Al_20_3が大きくなると空間速度依存性を有すること、脱着時の脱着率はパージガス流量に依存し、流量には依存しないことを示した。SiO_2/Al_2O_3を大きくすると従来では困難であった室温における水分脱着が大幅に向上し、温度スイング操作をしなくとも大部分の水分を迅速に脱離できることを示した。
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