平成22年度は新規疎水型貴金属触媒の水素酸化性能の定量的評価および水蒸気親和性制御手法を用いて作成した機能性ゼオライトおよびシリカゲルの水分吸着・脱離特性につき以下の成果を挙げた。新規疎水型貴金属触媒においては、2種の新規触媒を創製して試験を行った。そのうち、非高分子を母材とした疎水性白金触媒(商品化済、商品名TKK-H1P)は従来使用されているアルミナ白金触媒と比べ、室温乾燥雰囲気下での水素酸化性能が高く、また従来触媒に見られた室温水蒸気存在化における水素酸化性能の大幅な低下が生じず、設計どおりの優れた性能を示した。水素(トリチウム)濃度0.02~10000ppm、触媒温度15~200℃、空間速度(規格化流量)500~7200(h^<-1>)、水蒸気濃度(露点)-20以下~20度の条件で触媒の水素酸化性能の優劣の指標である総括反応速度係数を定量的に評価した。また、スチレンジビニルベンゼンをパーシャルブチル化した高疎水性母材をγ線にて細孔制御し白金触媒とした疎水性触媒の試験結果と合わせた評価として、室温における水素酸化性能向上には単位体積あたりの白金担持表面積が大きいほうがよいとの結論を得た。機能性ゼオライトおよびシリカゲルの水分吸着・脱離特性につき、室温における挙動を中心に精査した。水分吸着システムの室温駆動には、吸着時の高いトリチウム吸着効率と再生処理時の連やかな脱離特性が求められる。室温にて吸着操作を行う場合、前の再生処理時にとりきれない残留トリチウムの影響でトリチウム吸着効率は空間速度に依存するが、500h^<-1>以下の空間速度領域では99%を超える結果を得た。再生時は空間速度を大きくするほど室温においても迅速に水分脱離できるとの結果を得た。
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