研究課題
近年計算機の急速な発達により、入力に対し、わずかな時間の問に数値シミュレーションを実行し結果を出力するリアルタイムシミュレーションが可能となってきた。リアルタイムシミュレーションの応用事例として、核融合実験炉のモニタリングが挙げられる。モニタリングを行うためには、実験装置が稼働中常時計算を行う必要があるが、しかしながら、高性能計算機の代表例であるスーパーコンピュータは複数人で時間をシェアリングしながら利用するため、このようなニーズにマッチしない。このような問題を解決するべく、従来とは異なる設計思想で開発された高い計算能力をもつCellプロセッサーを用いる事で、常時モニタリング用の計算を行うことのできるシステムの開発を目指す。H21年度では、モニタリングシステムのなかでも最も計算時間のかかる箇所である固有値ソルバーについてCell上に実装を行った。Cellはそれ自体が並列計算プロセッサーであるうえ、本研究では、複数台のCellを用いることで計算速度を向上さらに向上させている。このため、並列度の高い実装が可能である共役勾配法をベースに固有値ソルバーを実装した。加えて、新しい共役勾配法を加速させる手法を開発した。従来の加速手法は並列性が低く複数台のCellに適さなかったが、開発した手法では加速性能は従来と同等のまま並列性を高く保つことに成功した。これらの成果により、当初より目標としていた、10万次元のブロック三重対角行列の最小固有値を一秒以内に求めることを達成し、モニタリングシステムの開発に向け前進した。
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日本計算工学会論文集 Vol.2010
Proceedings of the 18^<th> Euromicro Conference on Parallel, Distributed and Network-based Processing
ページ: 482-488
Proceedings of the International Conference for High Performance Computing, Networking, Storage and Analysis 2009
ページ: 56-56