核融合原型炉Demo-CRESTにおける初期装荷トリチウム無し核融合炉起動法を構築するために、以下に示す項目(1.炉心プラズマ、2.ブランケット、3.トリチウム燃料系)に対して検討を実施し、本研究の目的である初期装荷トリチウム無し核融合炉起動における運転シナリオを構築した。本結果により、核融合エネルギーにおけるトリチウムという自然界に存在しない燃料を予め準備する必要を無くすることが可能となり、今後の核融合エネルギー開発において重要な成果であると考えられる。 1.炉心プラズマ 前年度構築した立ち上げシナリオに対して、MHD安定性やNBI電流解析を実施し、炉心プラズマ制御シナリオを構築した。さらに、ダイバータ解析コードSOLPSを用いて立ち上げ時のダイバータ運転との整合性を確認し、核融合出力3GWまでのダイバータ運転条件の見通しを得た。 2.ブランケット 原型炉に対するブランケット解析を実施し、固体増殖材・水冷却方式を選択して、DT核融合中性子(14MeV)によるトリチウム燃料増殖率TBR=1.4、ならびにDD核融合中性子(2.45MeV)によるトリチウム燃料増殖率(TBR=0.6)とした燃料増殖シナリオを構築した。 3.トリチウム燃料系 トリチウム燃料計の解析モデルについて、昨年度は考慮していなかった炉心プラズマモデルを組み込み、解析コードの改良を行った。改良した解析コードを用い、項目1、項目2での解析結果ならびにITER評価に基づくトリチウムの真空容器内不活性両を評価条件としたうえで、核融合原型炉Demo-CRESTにおける初期装荷無し核融合炉起動に関する解析を実施した。その結果、燃料であるトリチウムが無くても起動期間に120日程度で立ち上げが可能であることが分かった。また、初期装荷トリチウムを入手できるのであれば、約1.3kg最低限確保する必要があることも分かった。
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