3価アクチノイドが炭素系材料に選択的に吸着され、ランタノイドから分離される現象に着目し、それらの各種炭素材料への吸着機構を明らかにすることを目的とする。 本年度は、カーボンナノチューブやフラーレンを含む各種の炭素系材料を用いて3価アクチノイドとランタノイドの吸着挙動を調べた他、活性炭表面の官能基の有無が吸着挙動に与える影響について調べた。用いた炭素系材料全てについて、硝酸水溶液中の3価アクチノイドとランタノイドが吸着され、水相のpHが増加するに伴い吸着が増加すること、またその際、3価アクチノイドが選択的に吸着されることを明らかにした。この結果は炭素系材料中に普遍的に含まれる六角網面構造が吸着に関与することを示唆している。また、活性炭に酸化処理を施すことにより表面に官能基(カルボキシル基)を導入したところ、官能基を介したイオン交換反応による吸着反応が支配的になり、3価アクチノイドとランタノイドの吸着は、未処理の場合に比べ1000倍程度増大することを明らかにした。またこの時、3価アクチノイドに対する選択性は若干低下するもののある程度維持されることがわかった。
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