研究概要 |
Cu : Pd比が1:1の条件でCuPdナノ粒子内包アポフェリチンを作製し,SEC-HPLC-ICP-MS, TEM,およびEXAFSによる分析を行った.SEC-HPLC-ICP-MS測定では,アポフェリチン, Cu,およびPdが同じ保持時間で検出され,CuおよびPdが何らかの形でアポフェリチンと共存していることが確認できた.TEMによる分析では,直径2-3nm程度の粒子が観察された.これらの粒子をEDSにより分析した結果,CuおよびPdが検出され,CuPdの粒子ができていることが確認された.SEC-HPLC-ICP-MSおよびTEMの分析結果を総合すると,CuPd粒子は,確かにアポフェリチン内部にできていると考えられる.最後にCuおよびPdのk吸収端のEXAFSを測定し, CuPd粒子の構造解析を行った.CuPdナノ粒子内包アポフェリチンのCuおよびPd k吸収端のEXAFSスペクトルのフーリエ変換スペクトルは,Cu泊やPd泊のそれとは明らかに異なるものであった.これらのスペクトルは,Cu-Cu, Cu-Pd,およびPd-Pdの結合を考えることで良いフィッティングが得られた.この結果は,TEMで観測されたCuPd粒子が合金構造をしていることを直接的に示す結果である.これまでアポフェリチン内に合金ナノ粒子を合成した報告はなかった.CuPd系の硝酸還元触媒では, CuPdが合金構造をしていることが重要であり,これを確かめることができた.
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