研究概要 |
Cu:Pd比が1:1の条件でCuPdナノ粒子内包アポフェリチン(CuPd-apoFr)を作製し,粉末X線回折(P-XRD)および広域X線吸収微細構造(EXAFS)による構造解析を行った。P-XRDによる解析では,回折角がおよそ41.5°にブロードなピークが観測された。このピークはPdおよびCuの回折ピークとは異なり,CuPd合金の形成を示唆している。ブロードなピークは結晶子が小さいことを示しており,Scherrerの式を用いて粒径を求めたところ,15nm程度であった。これは,昨年度のTEMによる直接観察で求めた粒径の2nmとほぼ同じであった。放射光を用いたPd K吸収端のEXAFS測定では,Pdを中心として,2.70ÅのPd-Pd結合が2.1個あり,255ÅのCu-Cu結合が2.9個あることがわかった。また,Cu K吸収端のEXAFS測定では,Cu原子を中心として,2.46ÅのCu-Cu結合が2.2個あり,2.49ÅのCu-Pd結合が1.9個あることがわかった。以上の結果から,アポフェリチン内にできた粒子は硝酸イオン還元の触媒活性をもつとされるCuPdの合金であることが示された。水素およびNaBH_4を還元剤として用い,作製したCuPd-apoFrの硝酸イオン還元触媒としての活性を調べたところ,水素を還元剤として用いた場合に活性があることが示された。
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