研究概要 |
本研究の日的は、中性子スーパーミラーの成膜における様々な界面制御法に対して得られる多層膜界面構造を評価し、中性子集光小角散乱法の確立に向けた基礎研究を行うことである。 平成21年度は、スーパーミラーを構成する層厚範囲内である1対層が10nmの多層膜の成膜を行う際に、ニッケル層を成膜するごとに成膜室内に少量の酸素(分圧1×10^-3Pa程度)を導入することにより、得られた多層膜からのX線反射率が向上することがわかった。このことは平均界面粗さなどの多層膜界面構造が変化したことを示唆しており、平成22年度以降において中性子反射率や散漫散乱強度を測定することにより、平均界面粗さや面内及び面間の相関長などの多層膜界面構造の評価を行う予定である。 また、平均界面粗さ以外の界面構造を規定するパラメータ(面内及び面間の相関長など)が中性子反射率に与える影響を調べる為、これらの影響を考慮した反射率計算を歪曲波ボルン近似に基づいて行った。その結果、多層膜からの中性子反射率解析において界面粗さだげでなく界面相関長も考慮すべき重要なパラメータであり、これまでに得られた多層膜及びスーパーミラーからの反射率の違いを説明できる可能性のあることを示した。この成果は、Journal of Physics, Conference Seriesに掲載される予定である。
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