本研究では、遺伝子の重複によって新たな機能を持った遺伝子が誕生し、ゲノムが進化するプロセスを解明する。そして最終的に、表現型の進化とゲノムの進化を結びつけることを目的としている。本年度は、以下の各課題について研究をすすめた。1、Teshima and Innan (2008)で発表された研究結果に基づき、ヒトのゲノムデータを網羅的に解析して、重複した後に新規機能を獲得したと考えられる重複遺伝子の同定を試みており、現在も継続中である。2、自然選択は生物の適応進化に重要な働きをする。しかし、自然選択の影響を受けたゲノム領域において観察される遺伝的変異の量とパターンを理論的に求めることは難しく、シミュレーションを行う必要がある。そこでプログラムのソースを改変することなく、比較的簡単に誰でもシミュレーションを行うことができるアプリケーションを開発し、発表した。3、イネのデータ解析を行い、その表現型(開花時間)に対して、それを制御する遺伝子群の寄与を定量的に解析し、発表した。
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