本研究は、分裂酵母Swi2-Swi5複合体依存的な接合型変換相同組換え反応を試験管内再構成し、その機構の解明を目的とする。平成21年度は、1. Swi2-Swi5複合体の精製法の確立、2. Swi2のDNA結合ドメインの解析、3. Swi2結合タンパク質との結合部位の同定、の解析を行った。それぞれの進捗状況は以下の通りである。 1. 大腸菌発現システムでSwi2-Swi5複合体の発現は可能であったが、分解産物が多く、これを改善する必要があった。これに代わる方法として昆虫細胞発現系、及び無細胞発現系を試みたが大腸菌発現系と同様にSwi2の分解を防ぐことはできなかった。これに平行し、Swi2と結合するSwi6を加えたSwi2-Swi5-Swi6の共発現・精製を行ったが、大幅な改善は見られなかった。これらの原因として、Swi2と結合・安定化する未同定のタンパク質の存在が推測される。現在分裂酵母からの直接精製の準備を行っている。 2. ATフックドメインを含むSwi2のN末端部N1(1-400アミノ酸)及びN2(81-320アミノ酸)の精製に成功し、これらのDNA結合能をEMSA法で比較した。N2はN1より結合能が1/5程度減弱していたことから、DNA結合にはATフックを含むかなり広域が必要であることが判明した。また、ゲル濾過解析からN1は単量体より高分子側に存在する画分が存在することが判明し、Swi2が多量体で機能する可能性が示唆される。 3. Swi2の高密度部分欠失変異タンパク質を作成し、Swi5との共発現を指標にSwi5結合領域の同定を行った。その結果、Swi2 621-722アミノ酸部分がSwi5との結合に必須部位であることが判明した。また、Swi2 361-722アミノ酸部分(Rad51結合領域を含む)をSwi5との複合体として精製することに成功した。
|