1、植物における低温シグナル伝達因子ICE1と相互作用するタンパク質カルモジュリン様タンパク質の過剰発現体では低温耐性を示し、低温応答性遺伝子の発現上昇が見られた。また、カルモジュリン様タンパク質とICE1との相互作用様式を調べたところ、in vitroにおけるpull-downアッセイにより両者の相互作用はカルシウム添加によって促進されることが明らかとなった。またin vivoにおける相互作用を調べたところ、これらの相互作用は低温によって促進されることが明らかとなった。このことから、カルモジュリン様タンパク質は低温耐性の調節に関わっていることが示唆された。現在、カルモジュリン様タンパク質との相互作用に関して特異性を調べている。またカルモジュリン様タンパク質のRNAi株を作製しており、knock-down株における低温応答についても調べる予定である。 2、403番目のセリン残基をアラニンに置換したICE1(S403A)は低温耐性を増強することが昨年度の研究から示唆された。ICE1及びICE1(S403A)のタンパク質の安定化を調べたところ、ICE1(S403A)でタンパク質が安定化することが明らかとなった。さらにin vivoにおいてICE1はユビキチンかされるのに対し、ICE1(S403A)はユビキチン化されていないことが明らかとなった。ところが、in vitroにおけるユビキチン化アッセイを行ったところ、in vitroの系ではユビキチン化されていることが明らかとなった。このことから、S403は主要なユビキチン化部位ではないことが示唆された。S403がユビキチン化の主要な部位ではないことから、ICE1(S403A)はin vivoにおいて何らかの修飾によりユビキチン化を抑制する役割があることが示唆された。
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