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2010 年度 実績報告書

光合成膜ガラクト脂質の生理機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 21770033
研究機関静岡大学

研究代表者

粟井 光一郎  静岡大学, 若手グローバル研究リーダー育成拠点, 特任助教 (80431732)

キーワードチラコイド膜 / 葉緑体 / ガラクト脂質 / 光化学系II複合体 / リン酸欠乏 / シアノバクテリア / 比較ゲノム解析 / 光合成
研究概要

光合成反応の場であるチラコイド膜は、多量のガラクト脂質を含むことが知られている。しかし、何故チラコイド膜に多量の糖脂質が存在するのか、なぜ極性頭部にガラクトースが利用されているのか、その理由は明らかではない。植物葉緑体およびその祖先であると考えられているシアノバクテリアの光合成膜は、非常によく似た脂質組成をしているが、その合成経路は異なることが知られている。チラコイド膜に最も多く存在するモノガラクトシルジアシルグリセロール(MGDG)は、葉緑体ではMGDG合成酵素によるジアシルグリセロールへのガラクトース転移反応により合成されるのに対し、シアノバクテリアではまずグルコースをジアシルグリセロールに転移してモノグルコシルジアシルグリセロール(MGlcDG)を合成した後、異性化酵素によってMGDGに変換する。本研究ではこのシアノバクテリアの異性化酵素に着目し、比較ゲノム学的解析からその候補遺伝子を抽出した。この候補遺伝子は、完全に破壊することができなかったことから、必須遺伝子であると考えられた。そこで、植物型MGDG合成酵素を導入し、MGDG合成のバイパス経路を持つ株を作成することを計画した。まず、ラン藻内で恒常的に発現するConIIプロモーター制御下でキュウリMGDG合成酵素遺伝子を発現させた株を用いたところ、候補遺伝子を破壊することはできなかったので、次に、より活性が高いことがわかっているGST融合型MGDG合成酵素を用いた。MGlcDG合成酵素のプロモーター制御下でこの融合遺伝子を発現させたところ、MGlcDG合成酵素遺伝子と完全に置きかえることが出来た。このことは、ラン藻特有のMGDG合成経路は通常の培養条件では必須ではないことを示している。この株が作成できたことにより、上記候補遺伝子を含む、目的の異性化酵素候補遺伝子の破壊による同定が可能となった。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] 産業的に重要なシアノバクテリアArthrospira platensis NIES-39(通称スピルリナ)のゲノムの多様な特徴:基礎から応用まで、個々の遺伝子から比較ゲノムまで2010

    • 著者名/発表者名
      成川礼
    • 雑誌名

      光合成研究

      巻: 20 ページ: 150-160

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Genomic Structure of an Economically Important Cyanobacterium, Arthrospira (Spirulina) platensis NIES-392010

    • 著者名/発表者名
      Fujisawa T
    • 雑誌名

      DNA Res.

      巻: 17 ページ: 85-103

    • 査読あり
  • [学会発表] 大量培養したAnabaena sp.PCC 7120を用いた有機化合物の解析2011

    • 著者名/発表者名
      馬渕剛志
    • 学会等名
      第12回静岡ライフサイエンスシンポジウム
    • 発表場所
      静岡県立大学(静岡県静岡市)
    • 年月日
      2011-03-04
  • [学会発表] 非光合成膜リン脂質の蓄積が光化学系タンパク質複合体に与える影響2011

    • 著者名/発表者名
      久保田みう
    • 学会等名
      第12回静岡ライフサイエンスシンポジウム
    • 発表場所
      静岡県立大学(静岡県静岡市)
    • 年月日
      2011-03-04
  • [学会発表] Anabaena sp.PCC 7120の窒素欠乏応答におけるゲノムDNAのメチル化2011

    • 著者名/発表者名
      田中裕二
    • 学会等名
      第12回静岡ライフサイエンスシンポジウム
    • 発表場所
      静岡県立大学(静岡県静岡市)
    • 年月日
      2011-03-04
  • [学会発表] 光合成膜機能に必須な糖脂質構造の解析2011

    • 著者名/発表者名
      舞田江里
    • 学会等名
      第12回静岡ライフサイエンスシンポジウム
    • 発表場所
      静岡県立大学(静岡県静岡市)
    • 年月日
      2011-03-04
  • [学会発表] 光合成膜主要糖脂質合成酵素遺伝子MGD1の組織化学的発現解析2011

    • 著者名/発表者名
      山崎尭嗣
    • 学会等名
      第12回静岡ライフサイエンスシンポジウム
    • 発表場所
      静岡県立大学(静岡県静岡市)
    • 年月日
      2011-03-04
  • [学会発表] 褐虫藻の脂質および脂肪酸組成2010

    • 著者名/発表者名
      粟井光一郎
    • 学会等名
      第13回日本サンゴ礁学会
    • 発表場所
      つくばカピオ(茨城県つくば市)
    • 年月日
      20101202-20101205
  • [学会発表] シアノバクテリアにおける貯蔵脂質合成2010

    • 著者名/発表者名
      粟井光一郎
    • 学会等名
      第23回日本植物脂質シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学宇治キャンパス(京都府宇治市)
    • 年月日
      20101126-20101127
  • [学会発表] エノキタケのカスパーゼ様プロテアーゼ(メタカスパーゼ)の精製と性質決定2010

    • 著者名/発表者名
      池谷彩
    • 学会等名
      第74回日本植物学会年会
    • 発表場所
      中部大学春日井キャンパス(愛知県春日井市)
    • 年月日
      20100909-20100911
  • [学会発表] Accumulation of phosphatidylcholine in the thylakoid membranes of cyanobacteria.2010

    • 著者名/発表者名
      Awai K
    • 学会等名
      19th International Symposium on Plant Lipids
    • 発表場所
      Cairns Convention Centre (Cairns Australia)
    • 年月日
      20100711-20100716
  • [学会発表] 有用シアノバクテリアArthrospira (Spirulina) platensis MES-39のゲノム解析2010

    • 著者名/発表者名
      成川礼
    • 学会等名
      第1回日本光合成学会 公開シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス(東京都渋谷区)
    • 年月日
      20100604-20100605

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公開日: 2012-07-19  

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