研究課題
申請者がこれまでに構築してきたシロイヌナズナの共発現データベースATTED-IIは、未知の機能グループを推察する手段として広く利用されてきた。しかしこの遺伝子共発現情報は遺伝子間の機能的関係の存在を支持するものの、それが具体的にどのような関係なのかについての情報をもたらさない。平成21年度は、この共発現の関係性に寄与している生物学的背景を判断する為の、共発現成分を評価するパイプラインの構築ならびにそれを用いた各種成分の遺伝子共発現データを作成した。当初計画では公共のデータベースに登録されているマイクロアレイデータから、代表的な5組織ならびに7つの植物ホルモンに関する実験を手動で選別し、その主成分分析により12の仮想サンプルを作成する計画であったが、実際に行ってみると手動選別が難しいこと、並びに主成分分析で綺麗に分かれないことが分かった。この為シロイヌナズナのマイクロアレイプロジェクトのAtGenExpressから主要な6つ分類(成長段階、生物的処理、非生物的処理、植物ホルモン処理、化学物質処理、細胞周期)を用いることにした。各分類群について共発現データを作成し、それらを一度に比較できるビューアを開発中である。申請手法においては、各種成分は主成分分析を用いることで独立であることが確保できる見込みであったが、元来、5組織ならびに7つの植物ホルモンは独立でないため、返って理解が難しくなる可能性があった。それに対して今回用いた手法では、各共発現データがどの実験群に由来するのかが明確であるため、実験系生物学者にはより理解し易いデータを提示することが可能になった。現在開発中の複数の共発現データを比較するビューアを用いることで、「具体的な関係」の提示という当初目標を達成することが可能であり、引き続き平成22年度に取り組んでいく。
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Bioinformatics 25
ページ: 2677-2684
DNA Research 16
ページ: 249-260
Journal of Plant Research (未定, 印刷中)
http://atted.jp