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2010 年度 実績報告書

植物の環境適応におけるバクテリア型緊縮応答の果たす役割

研究課題

研究課題/領域番号 21770037
研究機関東京工業大学

研究代表者

増田 真二  東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 准教授 (30373369)

キーワード葉緑体 / 遺伝子発現 / 緊縮応答 / 栄養飢餓 / シロイヌナズナ
研究概要

緊縮応答と呼ばれる原核生物に普遍的に見られる生理応答が葉緑体に保存されており、植物の示す様々な高次機能を調節することがわかってきた。多くの原核生物ではこの因子は必須なものであるため、植物細胞内でも重要な働きをしていると思われるが、その機能はよくわかっていない。その制御機構のメカニズムを明らかにすることを目標に研究を進めた。
シロイヌナズナのゲノムには原核生物型緊縮応答因子と相同性のあるタンパク質をコードする遺伝子が4つある(RSH1,RSH2,RSH3,CRSH)。昨年度までに、カリフラワーモザイクウイルス由来35Sプロモーター下流にRSH3遺伝子を繋いだコンストラクトを、シロイヌナズナに導入することで、RSH3を過剰に発現する組換植物体を得た。得られた組換植物体は野生型に比べ薄緑色であり、クロロフィル量が大きく減少していた。今年度は、このRSH3過剰発現体の解析を重点的に進めた。
まず電子顕微鏡でRSH3過剰発現体の葉緑体構造を観察したところ、野生型と比べ、一細胞当たりの葉緑体数に変化は無かったが、個々の葉緑体が萎縮していることがわかった。このことから植物の緊縮応答は正常な葉緑体の発達に重要な役割を果たすことがわかった。またこの過剰発現体が薄緑色の表現型を示すのは、この葉緑体の発達不全が原因と考えられた。
次にRSH3過剰発現体における、葉緑体遺伝子の転写産物(mRNA)および葉緑体遺伝子翻訳産物(タンパク質)量をそれぞれ、リアルタイムPCRおよびウエスタンブロッティングで解析した。その結果、この過剰発現体では、葉緑体遺伝子のmRNA量が全体的に減っていることがわかった。しかしながら、そのタンパク質量の変動は遺伝子によりばらつきが見られた。このことから、葉緑体の緊縮応答は、葉緑体ゲノム上のほとんどの遺伝子の転写と翻訳両方を調節すること考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 葉緑体形成におけるシロイヌナズナRelA/SpoTホモログの機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      前川未来翔、水澤一樹、太田啓之、増田真二
    • 学会等名
      2011年度日本植物生理学会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2011-03-20
  • [学会発表] バクテリア型セカンドメッセンジャーPPGppを介した葉緑体における脂肪酸合成の制御2010

    • 著者名/発表者名
      前川未来翔、水澤一樹、太田啓之、増田真二
    • 学会等名
      平成22年度日本植物脂質科学研究会シンポジウム
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2010-11-27
  • [産業財産権] 貧栄養耐性植物の作出方法2011

    • 発明者名
      増田真二, 前川未来翔
    • 権利者名
      東京工業大学
    • 産業財産権番号
      特願2011-49320
    • 出願年月日
      2011-03-07

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公開日: 2012-07-19  

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