AtNFXL1の切断部位の同定とトリコテセンに対する各ドメインの機能を明らかにするために、各ドメインを欠損させたAtNFXL1をatnfxl1変異体で発現させ、ウエスタンブロット解析を行った。その結果、Zn fingerドメインを含まない領域ではタンパク質の切断が認められなかった。このことからAtNFXL1タンパク質は、Zn fingerドメインの領域で切断されていることが明らかとなった。また同時に、それらの形質転換体におけるトリコテセンに対する感受性を調べたところ、どの領域を欠損させてもatnfxl1変異体の表現型を相補できなかったことから、AtNFXL1は全ての領域がトリコテセンによって誘導される防御応答に重要な機能を果たしていることが明らかとなった。AtNFXL1のN80の転写活性化能を調べるために、酵母のGAL4の実験系を使用し転写活性化能を調べた。その結果、AtNFXL1のZn fingerドメインが転写活性可能をもつことが明らかとなった。また、防御応答におけるC62とMKD1の機能を調べるために、まずmkd1変異体のトリコテセンに対する感受性を調べた。その結果、mkd1変異体はトリコテセンに対して感受性が低下することが明らかとなった。これは、atnfxl1変異体と逆の表現型であった。さらに、atnfxl1 mkd1二重突然変異体を作製しトリコテセンに対する感受性を調べたところ、atnfxl1 mkd1二重突然変異体の表現型は、atnfxl1の表現型を示し、mkd1の表現型は観察されなくなった。この結果はAtNFXL1がMKD1とその下流のMAPキナーゼカスケードを制御しているのではないかと考えている。
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