研究概要 |
オリゴDNAアレイ解析により低ニコチン変異株nic1nic2において発現抑制されている遺伝子として転写因子NtTF1遺伝子が新たに同定した。ゲノムDNAを鋳型としたPCR解析の結果、NtTF1とその相同遺伝子NtTF2-6はnic2変異遺伝型でゲノムから欠失していた。また分離集団を用いた解析からNtTF1-6は遺伝的に連鎖しておりNIC2遺伝子座に座位することが推定された。nic1nic2変異体の形質転換毛状根にNtTF1, NtTF2, NtTF3, NtTF5を構成的に過剰発現させるとNICによる制御を受ける生合成遺伝子の発現が誘導されニコチン蓄積量も増加した。さらに条件誘導的にNtTF1を過剰発現させた場合も同様に遺伝子誘導が見られ、それらの誘導はシクロヘキシミド存在下でも起こることからNtTF1による遺伝子活性化は1次応答であることが示唆された。一方、CREST法を用いてNtTf1, NtTF6の優性な機能欠損を引き起こすと野生型毛状根において生合成遺伝子群の発現、ニコチン蓄積共に抑制された。組換えNtTF1, NtTF2, NtTF3, NtTF5, NtTF6タンパク質はいずれもPMT遺伝子プロモーター内のシス配列EXに結合することがEMSA解析により示された。EX様配列はPMT以外の生合成遺伝子プロモーターにも見出された。BY2培養細胞の一過性発現系を用いたトランスアクティベーション解析においてNtTF1がPMT, QPT2, NBB1, A622プロモーターを活性化することや少なくともPMTプロモーターにおいてEX配列に変異を導入するとNtTF1による活性化が起こらなくなることが示された。
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