研究課題
pyrF遺伝子に1塩基欠失変異を持ち、生育にウラシルを要求するフランキアの変異株(E21株)を宿主とし、野生型のpyrF遺伝子をマーカーとした形質転換を試みた。マーカー遺伝子をエレクトロポレーションによりE21株に導入し、ウラシルを含まない最小培地で形質転換を選抜した。ウラシル合成能を示すコロニーが出現したが、全て復帰突然変異体だった。大腸菌との接合による形質転換も試みた。マーカー遺伝子は、放線菌ファージΦC31のインテグラーゼによる染色体への組込みを試みた。ウラシル合成能を示すコロニーが出現し、それらはpyrF遺伝子中の欠失変異は保っていた。しかしながら、染色体にマーカー遺伝子は導入されていなかった。おそらくサプレッサー変異体だと考えられた。次世代シーケンサーABI SOLiDを用いてフランキアのゲノム解析を行った。フランキアはGC含量が極めて高く(>70%)、配列決定に支障をきたすことが危惧されたため、ゲノム配列既知の2株のリシークエンスを行い、データの質を評価した。得られたリードを既知ゲノム配列にマッピングした結果、99.9%以上という高いマップ率を示し、SOLiDはGC含量が高いゲノムに対しても十分な性能を発揮した。次に日本由来の5株のフランキアのゲノム解析を行った。各株から3500万から6400万本の50bpのリードを得て、3種の既知ゲノム配列に対してマッピングし、500bpごとの被覆率(500塩基のうちリードがマップされた塩基の割合)を計算した。その結果、同じ宿主グループに属する株間では、宿主グループが異なる株間と比べてより多くのゲノム領域を共有することがわかった。また、全てのフランキア株が共有する遺伝子や、宿主グループ特異的な遺伝子も同定された。
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doi:10.1264/jsme2.ME10143
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