研究課題
フランキアは樹木と共生して窒素固定を行う放線菌だ。固定産物であるアンモニアを宿主植物に供給するため、フランキアの共生した植物は貧栄養土壌でも旺盛に生育する。フランキアと宿主植物との共生の分子機構を明らかにするため、形質転換法の確立に取り組んだ。平成23年度は、他の放線菌で実績のある様々なマーカー遺伝子やベクター系を用いた。また、Streptomycesなどの放線菌では大腸菌のdamやdcmによるメチル化を受けたDNAは制限されることが知られているため、これらのメチル化酵素の変異大腸菌株由来のDNAを用いた。しかし、形質転換の成功には至らなかった。ΦC31ファージのインテグラーゼを用いた部位特異的組換えによる染色体へのマーカー遺伝子の組込みは、放線菌では広く用いられている。フランキア染色体上にも組換えの標的配列となるattB部位と相同な配列が存在する。大腸菌細胞を用いた実験系により、この配列がΦC31インテグラーゼによる組換えの基質として機能することが確認できた。よって、形質転換がうまくいかない原因は、フランキア特異的なメチル化を受けていないDNAを分解する制限系が存在するためではないかと予想した。そこで、次世代シーケンサーを用いたバイサルファイトシーケンス法により、フランキアゲノムのメチルシトシン残基を網羅的に同定した。数千のメチルシトシン残基周辺の配列を比較したところ、明瞭なコンセンサス配列がみられた。コンセンサス配列はフランキアEul1b株から単離された制限酵素FesIの認識配列と極めて類似していた。FesIはメチル化感受性の酵素だった。
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