特定の器官・組織や生長反応で発現する既知のmiRNAの遺伝子座の同定と、そこに関わる新奇miRNAの単離・同定を行うために、シロイヌナズナDCL1と結合するpre-miRNAsの発現プロファイリングを目指して、本年度は以下のことを行った。 免疫沈降法を用いてDCL1と結合するpre-miRNAを共沈降させるため、DCL1とFlagタグを融合させたタンパク質を発現させる形質転換体シロイヌナズナを作成した。DCL1遺伝子は野生型由来と、HYL1タンパクと結合してpre-miRNA切断複合体を形成するがその切断が起こらないと予想されるdcl1-7変異体由来の配列を用いた。また、これらFlagタグ融合タンパク質の生育に対する影響を少なくするために、その融合遺伝子をデキサメタゾン(DEX)処理により発現が誘導されるDEX誘導性プロモーターの下流につないだコンストラクトを使用した。現在、アグロバクテリウムを介した形質転換法を用いて、作成したコンストラクトをシロイヌナズナに導入し、得られた形質転換体からラインの整備を行っている。 他方で、DCL1と切断複合体を形成するHYL1にHAタグをつないだ融合タンパク質を、CaMV35Sプロモーターで恒常的に発現させる形質転換体も作成した。抗HAタグ抗体を用いて免疫沈降を行えば、内在するDCL1と結合するpre-miRNAが得られることができ、FlagタグのDCL1とpre-miRNAの結合に対する影響をなくすことが期待される。今後は両方の形質転換体を用いて、pre-miRNAライブラリーの作成を行う予定である。
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