特定の器官・組織や生長反応で発現する既知のmiRNAの遺伝子座の同定とその反応に関わる新奇miRNAの単離・同定を行うために、シロイヌナズナDCL1と結合するpre-miRNAsの発現プロファイリングを目指して、本年度は以下のことを行った。 免疫沈降法を用いてDCL1と結合するpre-miRNAを共沈降させるため、前年度作成した、DCL1とFlagタグを融合させたタンパク質を発現させる形質転換体シロイヌナズナでの融合タンパク質の発現を確認した。 この形質転換体では融合遺伝子がデキサメタゾン(DEX)誘導性プロモーターによって発現するため、10μMのDEXを形質転換体幼植物に処理した。DEX処理をした幼植物からtotal RNA及び全タンパク質を抽出し、定量的RT-PCR法とFlag抗体を用いたウエスタンブロッティング法を利用して、融合タンパク質の発現量が高い形質転換体ラインを選抜した。現在、Flag-DCL1融合タンパク質とpre-miRNAを共沈降させるためのFlag抗体を用いた免疫沈降法の条件検討を行っている。 他方で、HYL1-HAタグ融合タンパク質の過剰発現する形質転換体について、その発現量を元にラインの選抜を行った。hyl1突然変異体では一部のpre-miRNA分子種においてスプライスバリアントが蓄積することが報告されており、作成したHYL1-HA過剰発現株を用いた免疫沈降法でHYL1と結合するpre-miRNAが得られることが新たに期待された。そこで現在、HA抗体を用いた免疫沈降法の条件検討も進めている。
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