生物の内生の概日時計は、自律的に約24時間周期のリズムを生み出す。この概日リズムが正確にリズムを生み出すことは、高等植物が環境や季節の変化に適応しながら生存して行くうえで必須である。シロイヌナズナの概日リズムの制御には、転写レベルでの振動に加え、タンパク質レベルでの正確でリズミックな分解・安定化機構が重要であることが申請者らの研究によりわかってきた。また、解析が進められている時計関連のタンパク質の多くについて、ユビキチン・プロテアソーム分解経路阻害剤処理によりその分解が阻害されることが報告されている。しかし、実際に時計関連タンパク質がユビキチン化されるのかどうか、またどの領域がどのリガーゼによりユビキチン化されるのかなどの詳細なメカニズムや、SUMO(Small Ubiquitin-like modifier)化などの他のユビキチン様修飾の関与に関しては解明されていない。そこで本研究では、時計関連タンパク質のユビキチン化およびユビキチン様修飾のメカニズムや時計制御との関係を解析することにより、タンパク質レベルでの時計制御の詳細なメカニズムの解明を目指している。 これまでに、時計関連タンパク質のうち5つがSUMO化コンセンサス配列を持つことを発見した。また、植物体内でSUMO化修飾を受けたタンパク質のSUMO化状態の検出や、in vitro SUMO化アッセイの実験系を立ち上げた。これらに加えて、所属研究室で単離された機能未知のユビキチンリガーゼタンパク質の生化学的解析を進めている。 さらに、時計制御に関わるユビキチンリガーゼ関連遺伝子を過剰発現・機能欠損した場合にシロイヌナズナの耐病性応答が変化する可能性を示唆する結果を得た。
|