研究概要 |
木質形成過程を制御するマスター転写因子NST1,NST3の下流で働いている転写制御因子を同定するため、NST3プロモーターで発現させたときにnst1-1 nst3-1変異体の表現型を回復させることができる因子の探索を行い、複数のMYB型、NAC型転写因子を候補として同定した。これらの変異体や遺伝子操作を行った形質転換植物を作成したところ一部において木質形成に異常がみられることが分かった。今後さらに詳細な遺伝子解析を行う予定である。また、木質形成に関与する酵素類などを直接制御する転写因子を同定するために、転写因子だけから成るライブラリーを用いて行う改良酵母ワンハイブリッド法を開発した。まず本法に利用するための酵母ワンハイブリッド、ツーハイブリッド兼用転写因子ライブラリーを、ゲートウェイエントリークローンから12個ずつまとめてLR反応することにより作成した。作成したライブラリーは都合1515転写因子をほぼ均一に含むことになる。このライブラリーを利用した改良酵母ワンハイブリッド法は、シスエレメントの絞り込みなしに、つまり1000bpほどのプロモーター領域を直接ベイトに使用した場合でも、これまでの酵母ワンハイブリッド法に比べて100倍以上の効率でプロモーターに結合する転写因子を同定できることが実験的に確かめられた。今後は本法を利用して木質形成を制御する転写制御ネットワークを網羅的に明らかにしていく予定である。
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