Mys蛋白質は、我々がゼブラフィッシュにおいて新規に同定した蛋白質で、ほぼすべての脊椎動物のゲノムにこの蛋白質をコードする遺伝子が存在する。したがって、Mys蛋白質は脊椎動物において普遍的な役割を果たす重要な蛋白質だと考えられる。本研究では、Mys蛋白質の全長の中で非常に保存性の高いカルボキシル末端に対する抗体を新規に作製した。この抗体を用いゼブラフィッシュに加えヒト、マウス、アフリカツメガエルにおけるMys蛋白質の発現を確認した。これは、脊椎動物間でゲノムに高度に保存されているmys遺伝子が、実際に蛋白質として発現していることを初めて証明したものである。次に、Mys蛋白質の発現部位を解析した結果、ゴルジ体と細胞質中の小胞に局在することが明らかとなった。我々はタグを付加したMys蛋白質を発現させ、Mysと相互作用する蛋白質を網羅的に解析した。その結果、Sec23a蛋白質を同定した。抗Sec23a抗体を用いMysとSec23a蛋白質の二重染色を行った結果、これらの蛋白質が細胞質、特にゴルジ体において共局在していることが明らかとなった。さらに、抗Mys抗体を用いた免疫沈降と抗Sec23a抗体を用いた免疫沈降から、MysとSec23a蛋白質が共沈降することを示した。すなわち、内在のMysとSec23a蛋白質が相互作用し、特にゴルジ体で機能していることが示唆された。現在、Mys蛋白質のノックダウンによって小胞体およびゴルジ体におけるMysとSec23aの相互作用が果たす役割を明らかすることを目指している。
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