研究課題
本研究は、卵巣器官培養による生体外排卵培養系を用いて、哺乳類(マウス)の排卵実行に重要な酵素(排卵酵素)を同定することを目的に行われた。これまでの研究から、メタロプロテアーゼの阻害剤であるEDTAにより排卵が顕著に阻害されることが明らかとなっている。排卵酵素の候補として最も注目されているマトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)もメタロプロテアーゼであることから、MMPに焦点を当てた解析を行った。PMSG/hCGにより過排卵を誘導した卵巣から、排卵6時間前の濾胞、および排卵6時間後の黄体をくり抜き、排卵前後において発現変動するMMPをRT-PCRにより調査した。その結果、排卵前後で変動するMMPを数種類発見した。これらのMMPについて、さらに詳細な解析を行い、排卵に向けてその発現量が増加するMMPを選別した。それらのMMPについてリコンビナントタンパク質を作製、それらを抗原として特異的抗体の作製を試みた結果、2種のMMPについてNativeタンパク質を検出可能な抗体の作製に成功した。また、顕著な発現変動は認められなかったが、メダカの排卵研究から排卵酵素として同定されたMT2-MMPについても抗体を作製した。現在、これらの抗体を用いて、排卵前後における発現変動をタンパク質レベルで解析中である。今後は、これらの解析により選別した排卵酵素の候補因子について、特異的抗体を用いた排卵阻害実験に着手していく予定である。
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Cell Tissue Research (In press)