研究課題
今年度は、メダカにおける濾胞刺激ホルモン(FSH)受容体の機能解析と発現制御機構の解析を行った。1.FSH受容体の過剰発現メダカ系統と変異メダカ系統の作製と解析メダカ性分化時期において、FSH受容体の発現パターンに性差(XY個体よりXX個体で高い発現)が認められる事から、XY個体でFSH受容体を強制発現するメダカ系統の作製を試みた結果、1系統の作製に成功した。また逆に、Tilling解析法を用いてFSH受容体の変異メダカ系統の単離を試みた結果、FSH受容体の細胞内ドメインを欠損した系統の単離に成功した。今後は、これら系統の表現型を解析する予定である。2.メダカ性決定遺伝子DMYが及ぼすFSH受容体の発現制御への影響メダカFSH受容体5'上流域3745bとルシフェラーゼ遺伝子とを連結したベクターを用いて、培養細胞におけるレポーターアッセイを行った。その結果、転写因子SF-1 (Steroidogenic factor 1)の投与により、有意にレポーター活性が上昇したが、SF-1とメダカ性決定遺伝子DMYとの同時投与により、上昇したレポーター活性が有意に減少した。これらの事から、DMYはメダカFSH受容体の発現を直接抑制している可能性が示唆された。そこで、in vivoでの解析を行うため、メダカFSH受容体5'上流域3745bとGFP遺伝子とを連結したベクターをメダカ受精卵に顕微注入し、FSHR-GFPトランスジェニックメダカ系統の作製を試みた結果、1系統の作製に成功した。今後は、この系統を用いてin vivoでのFSH受容体の発現制御機構の解析を行う予定である。
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Zoological Science
Development, Growth and Differentiation 51
ページ: 769-775