研究課題
I:時計遺伝子の機能と短い時間スケールでの行動発現の関係ビデオトラッカーをベースとした行動解析システムを構築し、野生型個体と時計遺伝子突然変異体の比較を行った。時計遺伝子変異で最も大きな行動変化が観察されるのは無周期性の突然変異体であることから、まず無周期性変異体per^<01>を用いた解析を行った。野生型では歩行・休止の時系列パターンはバースト状の複雑なダイナミクスを持つが、その統計的な性質は個体ごとに大きな差は観察されなかった。一方、per^<01>突然変異体は野生型に比べて歩行停止時間が長い個体と短い個体が混在する傾向が明らかとなった。この結果はper01突然変異ではサーカディアンリズムの同調が出来ないため、個体ごとに主観的時刻が異なることに関係していると推定された。さらに短周期型per^S・長周期型per^Lの突然変異体を用いた歩行活動解析を行った。per^L突然変異体は歩行活性が高く、歩行持続時間が長くなる傾向が見られた。一方、per^S突然変異体は歩行活性が低く、長時間歩行活動を停止する個体が多かった。これは歩行活動持続時間の長短とサーカディアンリズム周期の長短の対応関係を示唆するデーダである。II:時計ニューロンの活動と短い時間スケールでの行動発現の関係神経活動を一過的に操作するためのツールとして、光感受性陽イオンチャンネルChR2および温度感受性陽イオンチャンネルdTRPA1を用いた。時計ニューロン特異的発現をドライブするためにpdf-Ga14を利用した。pdf-Ga14とUAS-ChR2もしくはUAS-dTRPA1を持つ個体を用い、時計ニューロン特異的に且つ一過的に神経活動の上昇を行った状態で歩行活動を測定したが、コントロール条件と比べて大きな行動変化は観察されなかった。
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