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2009 年度 実績報告書

物体認知における偏光視の役割とその神経機構 -アゲハを例に-

研究課題

研究課題/領域番号 21770078
研究機関総合研究大学院大学

研究代表者

木下 充代  総合研究大学院大学, 葉山高等研究センター, 助教 (80381664)

キーワード行動 / 神経科学 / 脳・神経 / 昆虫
研究概要

初年度は,求蜜行動中のアゲハに偏光の振動面の違いがどのように見えているかを明らかにする行動実験と,生理学実験の基盤となる視覚情報の神経経路を解明する解剖学的実験を行った.
求蜜行動を指標とした偏光弁別の行動実験では,アゲハに偏光の振動面の違いが明るさの違いとして見えていることを明らかにした.求蜜行動中のアゲハは,生得的に地面に対して垂直(縦)に振動する偏光を好む.この偏光への嗜好性は,学習によって変えることが非常に困難だが,刺激自体もしく背景の明るさの変化に対じて容易に変えられる.一方、色への嗜好性は学習により簡単に変わり,色の弁別に明るさの変化はほとんど影響しない.以上を考え合わせ,私は求蜜行動中のアゲハには,縦偏光が横偏光よりより明るく見えているという結論に達した,本結果は、まだ明確な答えの出ていない新しい視知覚の神経機構の研究において,研究の意義・方向性を決める重要なものである.
神経解剖学的実験では,主に視覚中枢からキノコ体と呼ばれる領域への投射様式を明らかにした.キノコ体が嗅覚情報と嗅覚記憶と関わる脳領域として注目されている.特に真社会性昆虫では,この領域に視覚情報が入力することから,嗅覚と視覚情報の統合にも関わると予測されている。私はアゲハのキノコ体において非常に大きな入力が、嗅覚中枢のみでなく視覚中枢からあることを発見した.このことは、鱗翅目昆虫のキノコ体も嗅覚と視覚情報との統合を含めた情報処理領域であることを示唆している.視覚中枢からキノコ体への入力には少なくとも3種類あり,それぞれの入力に異なる情報が含まれていると予測している.これらの経路は鱗翅目では初めての報告で,鱗翅目昆虫における感覚情報処理機構の解明に関わる神経生理学的研究において新しい方向性を示した非常に重要な発見である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009

すべて 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [学会発表] Visual input to the mushroom bodies in the swallowtail butterfly2009

    • 著者名/発表者名
      Michiyo Kinoshita
    • 学会等名
      Society for Neuroscience
    • 発表場所
      ンカゴ
    • 年月日
      20091017-20091021
  • [学会発表] 求蜜行動中のアゲハにおける着地に関わる色受容細胞2009

    • 著者名/発表者名
      越高久晴
    • 学会等名
      日本動物学会
    • 発表場所
      静岡コンベンションアーツセンタ-グランシップ
    • 年月日
      20090917-20091920
  • [学会発表] アゲハにおける視葉からキノコ体への神経経路2009

    • 著者名/発表者名
      木下充代
    • 学会等名
      日本動物学会
    • 発表場所
      静岡コンベンションアーツセンタ-グランシップ
    • 年月日
      20090917-20090920
  • [図書] 見える光,見えない光-動物と光のかかわり-2009

    • 著者名/発表者名
      木下充代
    • 総ページ数
      78-97
    • 出版者
      共立出版
  • [図書] いろいろな感覚の世界2009

    • 著者名/発表者名
      木下充代
    • 総ページ数
      121-137
    • 出版者
      学会出版センター

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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