申請者は、行動変化に関わる神経機構における体液性調節機構の働きを明らかにすることを目的とし、研究を進めた。軟体動物モノアラガイは神経細胞が大きく、そしゃく行動に関連する神経回路が明らかにされている。また、味覚を用いた連合学習ではインシュリン様遺伝子が成績によって変化することが示されている。本研究では、実験動物の利点を生かして「そしゃく神経回路」と「味覚嫌悪学習」に関わる「インシュリン作用機構」の研究を行った。平成23年度は、味覚嫌悪学習の鍵であるセロトニン分泌細胞、唾液腺ニューロンを中心に、連携研究者らとニューロンの電気生理学的性質を調べた。その結果、学習後にセロトニン分泌細胞から唾液腺ニューロンに対する神経伝達が減少することが分かった。また、前年度に確認したショ糖投与によってFOXOの動向が変化する細胞において、学習後30分におけるFOXOの細胞内での局在について組織学的な解析を行った学習による変化は見られなかった。
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