• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

シカ寄生性シラミ2種をモデル系とした形態進化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21770083
研究機関北海道大学

研究代表者

吉澤 和徳  北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (10322843)

キーワードシカジラミ / シカハジラミ / 系統地理 / 共進化 / 形態進化 / 種
研究概要

離島を含む日本各地および台湾のサンプルに基づき,シカおよびシカハジラミの系統解析を行った.解析にはミトコンドリアCOIの相同な領域を両種に用い,宿主-寄生者間の分子進化傾向の違いも比較出来るよう実験をデザインした.その結果,シカは配列が2-2.5%異なる台湾,北日本,南日本の3系統に分かれるのに対し,シラミは配列が12%異なる台湾+九州南部とそれ以外の系統に大きく分かれることが分かった.後者はさらに配列が2%程度異なる2系統に分かれたが,それらには地理的な構造は見られなかった.
得られた系統関係に基づき,共分化解析を行った.分岐パターンの比較からは,両者の間に有意な共分化関係が検出されたものの,遺伝的距離の比較から,分岐パターンの一致のいくつかは,共分化関係によるものではないことが示された.それらを除外した結果,偶然の一致を超えるような有意な共種分化関係は見られないことが示された.過去の全ての研究例で,哺乳類とシラミの間には強い共種分化関係が認められており,今回の結果は興味深い.両者の分化パターンの不一致の原因として,雄ジカによるシラミの分散が考えられた.シカの集団解析には母性遺伝するミトコンドリアが用いられてきた一方,集団解析に適した核のマーカーは得られておらず,雄ジカの集団構造は未解明であった.シラミの集団構造は,シカの雄の集団構造解明の一助になる可能性も示された.
フーリエ記述子を用いて,シラミの頭部形態の定量化を行った.その結果,非機能的な部分に大きな変異が生じていることが示された.また,頭部形態の集団間のクラスター解析を行った結果は,系統解析の結果と非常に良く一致していた.
上記の他,シラミの分子進化に関し,塩基置換速度がシカの約4.8倍早いこと,ミトコンドリアゲノムが単一の環状構造を取らず,複数の微小環から成ることが明らかとなった.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Multiple lineages of lice pass through the K-Pg boundary2011

    • 著者名/発表者名
      Smith, V. S., Ford, T., Johnson, K. P., Johnson, P., Yoshizawa, K. & Light, J.
    • 雑誌名

      Biology Letters

      巻: 7 ページ: 782-785

    • URL

      http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/browse?type=author & authority=1000010322843

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The utility of indels in population genetics : the Tpi intron for Host race genealogy of Acrocercops transecta (Insecta : Lepidoptera)2011

    • 著者名/発表者名
      Ohshima I, Yoshizawa K
    • 雑誌名

      Molecular Phyloenetics and Evolution

      巻: 59 ページ: 469-476

    • DOI

      10.1016/j.ympev.2011.03.006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mitochondrial genome deletions and mnicircles are common in lice (Insecta : Phthiraptera)2011

    • 著者名/発表者名
      Cameron SL, Yoshizawa K, et al.
    • 雑誌名

      BMC Genomics

      巻: 12 ページ: 394

    • DOI

      doi:10. 1186/1471-2164-12-394

    • 査読あり
  • [学会発表] Phylogeny of Psocomorpha : congruence and incongruence between Morphology and molecular data2011

    • 著者名/発表者名
      Yoshizawa K, Johnson KP
    • 学会等名
      Dresden Meeting on Insect Phylogeny
    • 発表場所
      Blockhaus (Germany)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-24
  • [図書] 種間関係の生物学 共生・寄生・捕食の新しい姿(分担執筆)2012

    • 著者名/発表者名
      大島一正, 吉澤和徳
    • 総ページ数
      399
    • 出版者
      文一総合出版

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi