研究課題
本年度までに水深や透明度などビクトリア湖の様々な環境に生息する種の長波長領域に吸収帯をもつ光受容体遺伝子(LWS)が、生息環境の光に適応するように分化していることを予測した。また、実際に光受容体を構築し吸収波長の測定を行い、適応的であることもA1レチナールを発色団に用いて示してきた。しかし、淡水魚はA1だけでなくA2レチナールも発色団に用いることが知られており、これを用いてLWSの吸収波長を調べる必要があった。そこで本年度は、LWSのすべてのアリルについてA2レチナールを用いた光受容体の構築と吸収波長の測定を行った。その結果、LWSの光受容体の最大吸収波長は568-611nmの範囲で異なった最大吸収波長を持つことが明らかになり、それぞれの種が生息する環境の光に適応してきたことが明らかになった。また、薄明視で働く光受容体、RH1についても同様にA2レチナールを用いた光受容体の構築と吸収波長の測定を行った。その結果、深い生息水深の種から浅い生息水深の種になるにつれて、RH1のアリルが遷移し最大吸収波長は長波長側から短波長側にシフトする(539-522nm)ことが明らかになった。これらのことからビクトリア湖の種は透明度や深さによって変化する光環境にLWS,RH1のアリルを適応させ進化してきたことが明らかになった。
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Gene 441
ページ: 67-73