研究概要 |
平成22年度は,ウワバミソウならびにヤマトキホコリの葉緑体DNA塩基配列多型解析を行った。本州の青森県から広島県にかけた地域において収集した9カ所のサンプルを使用した。予備的解析で多型があることがわかっている葉緑体DNAの領域を用いて解析を行った。ウワバミソウについてはpsbC-trnS(UGA)遺伝子間領域を,ヤマトキホコリについてはrp116遺伝子間領域をユニバーサルプライマーを用いてPCRで増幅し,3100ジェネテックアナライザーで,それぞれの葉緑体DNA塩基配列を決定した。その後,Phred/Phrap/Consedならびにseaview4を用いて決定した塩基配列を比較して,塩基配列の多型を検出した。 その結果,ウワバミソウにおいては8タイプの葉緑体DNA塩基配列多型を検出した。塩基配列を決定できた279塩基対のうち,5箇所の塩基置換ならびに2カ所の長さ違いによる多型である。検出された葉緑体DNAハプロタイプのうち一つは広く本州に分布していた。その他は青森県,石川県および兵庫県のサンプルにはそれぞれの地点でユニークなハプロタイプが検出できた。また,近畿地方の地点からのみ検出された葉緑体DNAハプロタイプがあった。一方,ヤマトキホコリはサンプルが少なく京都府産のサンプルを解析することしかできなかった。さらに,今回解析を行ったヤマトキホコリについては葉緑体DNA塩基配列多型を検出することができなかった。ヤマトキホコリを採集した地点のウワバミソウでは葉緑体DNAハプロタイプの多型があった。
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