専門的えい食性は第三者によって作り出されたゴール(虫こぶ、虫えい)を介してのみ成立する間接的な寄主植物の利用様式である。コウチュウ目ゾウムシ科に属するクロツヤサルゾウムシ属には、幼虫期にタニウツギ類(スイカズラ科)に寄生するタマバエの一種(ハエ目)のゴールのみを餌資源として利用する種が含まれる。本研究では、専門的えい食性の適応的意義の解明を目指して本属を対象に進化学的研究を行った。具体的には、野外調査や実験によって生態データを集積し、ミトコンドリアCOI 遺伝子領域の塩基配列に基づいて対象群内の種間類縁関係を推定、系統解析と生態学的研究の結果に基づいて専門的えい食性の進化プロセスを推定した。また、本研究の過程で得られた様々なデータを総合的に評価して対象群の分類体系を再構築した。
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