研究課題
本研究の目的は、甲殻類の中で様々な程度に寄生生活に適応している多くの種を含む等脚目を用いて系統仮説を提出し、自由生活性等脚類から寄生性等脚類への進化の道筋と寄生生活に適した形態の適応的意義について明らかにすることである。また同時に採集時に得られた標本について未記載種の場合には記載を行い、分類学的に問題のある種の場合は再記載を行うことである。本年度は採集調査と室内実験を重点的に行った。主に九州北西沿岸および瀬戸内海で広島大学豊潮丸と長崎大学長崎丸によりビームトロールとソリネットを用いて宿主となる甲殻類の採集を行った。得られた甲殻類が寄生性等脚類に寄生されているか否かを精査し、寄生虫に罹患している場合は寄生状況、つまり、寄生率、寄生部位、寄生姿勢、雌雄の別、サイズを詳しく調査した。また、シロエビに寄生するエビヤドリムシ類Minicopenaeon intermedium intermediumに関しては形態変異の幅について詳しく調査した。寄生性等脚類の分類学的研究は解剖、プレパラート作成、形態観察、同定、記載の順で行った。実体顕微鏡下で鋭い針を用いて付属肢をはずした後、スライドグラス上にガムクロラールで封入し、微分干渉顕微鏡を用いて形態観察を行った。それらの一部は走査型電子顕微鏡を用いて微細構造の観察を行った。論文作成用に各形質を描画装置を用いてトレースを行い、顕微鏡用カメラで撮影を行った。その結果、エビヤドリムシ類、アミヤドリムシ類、カクレヤドリムシ類に関する新知見を得た。以上について論文や学会にて発表を行った。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Bulletin of the Kitakyushu Museum of Natural History and Human History, Ser.A, Natural History
巻: 10 ページ: 1-8
Crustaceana Monographs
巻: 15 ページ: 23-30
巻: 15 ページ: 1-14