タンパク質生合成は、多種多様なリボソーム結合性GTPaseファミリーの因子が順次にリボソームGTPaseセンターと作用することで進行する。そのため、リボソーム結合性GTPaseファミリーの分子機構解明には、それらの因子とGTPaseセンターとの複合体の立体構造解析が必要である。本研究は、結晶化に有利である超好熱古細菌を材料とし、(1)リボソーム結合性GTPaseファミリー因子・GTPaseセンター複合体の結晶化、(2)X線回折データの収集、(3)タンパク質立体構造計算、(4)立体構造からリボソーム結合性GTPase機能発現の分子機構を考察、(5)立体構造から得られた内容を生化学的解析により検証するという手順で進める計画である。 本年度は、超好熱古細菌GTPaseファミリーの1つであるEF-1αについて、GTPaseセンターの相互作用部分と結晶化を行った。その結果、我々は結晶を得ることに成功し、高エネルギー加速器研究機構(筑波)のPhoton Factoryにおいて回折強度データを収集することができた。現在はタンパク質の立体構造計算を行っている最中である。すなわち、当初の計画の(1)~(2)が終了し、現在(3)の段階である。今後は、EF-1αについて(4)~(5)を行うと同時に、他のGTPaseファミリーについても同様の解析を行い、多種多様なリボソーム結合性GTPaseが同一のGTPaseセンターと作用するために備えた普遍的メカニズムを明らかにする。
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