蛋白質中のジスルフィド(S-S)結合の位置および立体配座の情報は蛋白質の構造形成・安定化機構の理解に重要であるが、その有効な解析手法が確立していない。本研究においては、S-S結合を構成する2つのシステイン残基のベータプロトン間NOEを、高度安定同位体標識タンパク質調製技術SAIL(立体整列同位体標識)法を利用して観測することにより、その位置と立体配座を決定する方法を開発した。同手法は、解析対象のベータプロトン以外の水素を完全に重水素置換する事により、従来の均一標識タンパク質において問題となるシグナルの縮重やスピン拡散の問題を回避する。この結果、高感度かつ高い定量性を保持したままNOEを観測し、S-S結合の位置・立体配座を決定出来る。
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