1. 大腸菌で発現させた古細菌P.furiosusのStt3全長タンパク質の大量調製 本酵素はIPTG誘導後に、細胞毒性によると考えられるホスト大腸菌の死滅という問題があった。この問題は、ホストの大腸菌をBL21(DE3)からC43(DE3)に代えることで改善がみられた。さらに、C43(DE3)pLyssについても検討を行ったが、改善されなかった。誘導後の培養温度を検討したところ16℃より37℃で培養した方がOSTの回収量が多いことがわかった。また、可溶化の際の界面活性剤について検討を行った。その結果、ThtonX-100、オクチルグルコシド、ドデシルマルトシドのどの界面活性剤を用いてもOST活性に差は見られなかった。今後はドデシルマルトシドを用いて可溶化を行う。 2. 基質(糖鎖修飾アミノ酸配列)のデザイン Asn-X-Thr/Serが糖鎖修飾のコンセンサス配列であるが、Xのアミノ酸残基の違いにより糖転移の効率が異なることが知られている。そこで、Xの各位置のアミノ酸残基を19種類変えた蛍光標識ペプチドを作製し、P.furiosus菌体より精製したOSTを用いて活性を測定した。電気泳動により反応物を分離し、蛍光イメージを用いて蛍光検出を行った。その結果、XがValの時に最も活性が高いことがわかった。また、Xの次のアミノ酸をThrもしくはSerにしてOST活性を測定したところ、Xの次のアミノ酸残基がThrの方がOST活性が3倍程度高いことがわかった。そこで今後は、今回デザインしたAsn-Val-Thrを最適配列として用いる。
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