神経幹細胞は自己複製能を持つと同時に、さまざまな分化制御を受けながらニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトを作り出すことができる。神経幹細胞がニューロンやグリア細胞へと分化する過程には、細胞外来性シグナルと細胞内在性プログラムが関わっており、個体の発生初期から成体に至るまで時空間的に厳密に制御されている。そこでこれらに関わる重要な蛋白分子群とその翻訳後修飾を含む構造と機能の変化を明らかにするため、翻訳後修飾プロテオミクス解析による神経幹細胞分化制御因子のスクリーニングを試みた。その結果、未分化刺激の有無により発現量が変化した蛋白質が80個検出され、その中でも80個中の24個はリン酸化蛋白質であることが明らかとなった。これらの分子群を質量分析により同定した結果、転写調節、クロマチンリモデリングなどの核内動態に関与する蛋白質が含まれていた。
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