ダイオキシン受容体(AhR)が基質ERをユビキチン化して蛋白質分解に導く機能と転写制御機能について、その分子機構解明を行った。AhRに相互作用する翻訳後修飾因子として、CBP/p300をこれまでに同定している。また、CUL4BはAhRに相互作用してユビキチン化翻訳後修飾を行う。AhRがリガンドによって活性化された際、蛋白質分解に関与するK48-linkユビキチン化を促進することが明らかとなった。その分子機構として、K48-linkユビキチン化および蛋白質分解と、CBPのリクルートメントが関連することを見出した。すなわち、CBPは異なるリガンドによってAhRへのリクルートが促進あるいは抑制される。すなわち、アセチル化とユビキチン化という異なる翻訳後修飾がAhR上でクロストークすることが明らかとなった。その分子機構解析の結果、CBPがユビキチンをアセチル化する可能性を見出した。CBPをリクルートしないリガンド(部分アンタゴニスト)の一つであるRSVは、AhRのK48-linkユビキチン化を抑制し、逆にK63-linkユビキチン化を促進した。以上より、転写因子AhRが異なる翻訳後修飾によって機能制御を受ける分子機構の一端を明らかにした。
|