研究課題
若手研究(B)
我々のグループでは核内受容体COUP-TFs(COUP-TFIとCOUP-TFII)がマウス網膜錐体視細胞で発現するオプシン遺伝子の発現を制御し背腹軸に沿った空間的発現パターン形成に寄与する事を見いだしており、本研究ではその制御機構についてエピジェネティックな視点から明らかにしようと試みた。マウス網膜背側、腹側の青オプシン遺伝子プロモーター領域におけるDNAメチル化状態、ヒト網膜芽腫細胞株で内在性のCOUP-TFsの発現を抑制した時のヒト赤オプシン遺伝子プロモーター周辺領域におけるDNAメチル化状態およびヒストン修飾状態の変化を調べてみたがCOUP-TFsの直接的な関与は見いだされなかった。しかし、TRbeta2によるヒト赤オプシン(マウス緑オプシン)遺伝子発現制御領域を同定し、さらにCOUP-TFsがTRbeta2によるオプシン遺伝子活性化に対してヒトとマウスで異なる作用を発揮する事を見いだした。また、クロマチンリモデリング因子の一つBrg1が青オプシン遺伝子の転写活性化に寄与し、その活性化に対してCOUP-TFsは抑制的に働きうる事が分かった。COUP-TFsはこれら因子と相互作用しオプシン遺伝子の発現を制御している事、また、動物種間で異なるオプシンの空間的発現パターンもこれら因子との相互作用を介して発揮される事が示唆された。
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Experimental Eye Research Vol.90, No.1
ページ: 49-56
Jouranl of Neuroscience Vol.29, No.40
ページ: 12401-12411
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/moldev/