研究概要 |
本研究は,細胞周期依存的なダイナミンと微小管の結合制御を明らかにすることを目的としている。そこで,(1)ダイナミンのリン酸化および結合蛋白質の同定,(2)リン酸化や結合蛋白質によるダイナミンと微小管の結合制御,(3)ダイナミンのリン酸化と結合蛋白質の相互関係,の検討を計画した。 平成23年度は,計画(2)についてin vitroでの検討を行うために,細胞内でのダイナミンと微小管の結合様式をin vitroで再現することを試みた。 まず,全長ダイナミン,ダイナミン-(1-786),ダイナミン-(1-745)及びそれぞれのGTPase不活性型の計6種類のダイナミンについて微小管とのco-sedimentation assayを行った。どのダイナミンも微小管非存在下で沈殿するため,微小管との結合を判断できなかった。次に,ダイナミン-(714-870)、-(714i786)および-(787-870)の3種類のダイナミンについて微小管とのco-sedimentationassayを行った。ダイナミン-(714-870)は30%結合することが確認できた。一方,ダイナミン-(714-786)及び-(787-870)は微小管と結合しない(5%以下の結合)ことが明らかとなった。このことから,ダイナミンPRDは微小管と結合するが,ダイナミンPRD領域のみでは細胞内でのダイナミンと微小管の結合制御を再現できないことが明らかとなった。さらに,GTPase領域とPRD領域を融合させたダイナミン変異体を用いて微小管とのco-sedimentatioh assayを行ったが,この変異体も全長ダイナミンと同様にダイナミンのみで沈殿するため,微小管との結合を判断することができなかった。 以上のことから,co-sedimentation以外の方法で微小管とダイナミンの結合を調べる必要があることが明らかとなった。
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