本研究は、細胞周期依存的なダイナミンと微小管の結合制御メカニズムを解明することを目的としている。平成24年度は、以前に同定したダイナミン結合蛋白質のSNX9に注目して,ダイナミンのC末領域がダイナミンと微小管の結合を阻害するメカニズムの解明を試みた。 【1. ダイナミン結合蛋白質とダイナミンの細胞内での結合】 ダイナミン結合蛋白質であるSNX9の抗体を用いて免疫沈降を行った結果,ダイナミンが共沈した。これは、HeLa細胞内でダイナミンとSNX9が複合体を形成していることを示している。 【2. 全長ダイナミンの精製】 微小管と微小管結合蛋白質の一般的な結合実験は、微小管を超遠心により沈殿させたときに共沈する蛋白質を結合蛋白質とする実験系が用いられる。しかし、以前、私達が大腸菌を用いて作製した全長ダイナミンは、ダイナミンのみで沈殿してしまうため、微小管との結合実験を行うことができなかった。そのため、精製度が高くダイナミンのみで沈殿しない全長ダイナミンの精製を試みた。今回,コムギ胚芽無細胞タンパク質生産法を用いて全長ダイナミンを精製した結果、大腸菌で精製したときよりも分解物の少ない精製度の高いダイナミンが精製された。現在,精製した全長ダイナミンと微小管の結合実験を行っている。 【3. ダイナミンと微小管の結合様式について】 微小管結合型変異体のダイナミン-2-(1-786)を発現させたHeLa細胞のライブイメージングにより、ダイナミン-2-(1-786)が微小管の伸長端に局在していること、その局在はEB1やEB3と隣接していることを明らかにした。また、この局在は微小管の安定化剤であるパクリタクセル(タキソール)により抑制されることから,ダイナミンはダイナミックな微小管にのみ結合することが示唆された。この実験系を用いて、SNX9がダイナミンと微小管の結合に及ぼす影響を検討中である。
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