ペルオキシソームは、真核細胞に広く存在する球状の一重単位膜細胞内小器官であり、その機能は極長鎖脂肪酸のβ-酸化、エーテルリン脂質であるプラスマローゲンや胆汁酸の生合成など多岐にわたっている。このように細胞内において重要な働きを担うペルオキシソームの形成機構については、細胞質ポリソームで合成された構成蛋白質がペルオキシソームに移送され、ペルオキシソームが成長、分裂して増殖していくと考えられている。その過程は各種ペルオキシソーム形成因子(PEX遺伝子:その遺伝子産物、ペルオキシン)によって形成・維持されるが、ペルオキシソーム形成の制御機構に関しては解析が遅れている。我々は、哺乳類細胞においてペルオキシソーム移行シグナル2型(PTS2)を持つペルオキシソーム内腔タンパク質(PTS2タンパク質)の細胞質受容体であるPex7pが比較的不安定であることを見出しており、Pex7pがユビキチン-プロテアソーム系を介して機能調節を受けている可能性が高いと考えている。しかしながら、Pex7pのユビキチン化による機能制御や分解に関しては全く不明である。申請者は、昨年度においてPex7pがユビキチン/プロテアソーム系によって分解されることを証明した。そこで、本年度はPex7pの調節機構の解明をユビキチン化に関わるユビキチンリガーゼの同定・機能解析から目指した。その結果、Pex7pのユビキチンリガーゼのひとつを同定し、そのユビキチンリガーゼによるPex7pの調節機構の作用点を見出し、その成果についての論文を投稿準備中である。
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